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 僕の中学時代はGS一色だった。「太陽の翼」で始まり、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」で終わった三年間だった。MyBestBandがベイシティローラーズなのは、彼らがGSの雰囲気を持っていたからだ。1969年の暮れ、夜のヒットスタジオで初めて「ラヴ・ラヴ・ラヴ」を歌ったタイガースのカッコよさは、翌日クラスの話題となった。既にGS人気は末期症状で、僕の目には彼らのカッコよさが滅びの美学のように映った。今も69年でENDにすべきだったと思う。渡辺美佐が大阪万博のプロデュースを務めたおかげで寿命が一年延びてしまい、おまけにその万博のフェスティバルでスパイダースに人気の王座を獲られてしまうのだから。70年に入って受験勉強も仕上げに入らなければならないのに、タイガースの出演するテレビ番組は欠かさず見ていた。日曜の午後にやっていた歌番組で、「ラヴ・ラヴ・ラヴ」の演奏中に何かが起こったのか、ジュリーが急に歌うのをやめてしまったことがあった。また最初から演奏が始まったが、あの日の光景は忘れられない。
 ところでGSはどのグループもローリング・ストーンズが好きだったようで、ライブでは彼らのカバーをよく演奏していた。ストーンズと言えば、「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「サティスファクション」「HonkyTonkWoman(なのに何故か日本語訳はウィメンで複数になっている)」など60年代の曲に人気があるが、僕は70年代のストーンズが好きだ。70年代の彼らのアルバムはみんなカッコいい。「山羊の頭のスープ」「ブラックアンドブルー」「女たち」、そしてなんといっても1974年の「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」。「女たち」の「ビースト・オブ・バーデン」もレゲエでカッコいいが、やはりこの一曲となると「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」のSaideOneのラストを飾る「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」。ミック・テイラーのギターとニッキー・ホプキンスのピアノが絡み合うエンディングが最高だ。