1970年代前半、我が国のミュージック・シーンを席巻していたのは演歌だった。藤圭子や森進一、クールファイブ、にしきのあきら、いしだあゆみ、ちあきなおみが人気の中心にいた。そんな中、深夜放送のリスナーを虜にしていたのがグラスルーツ、スリー・ドッグナイト、ハミルトン・ジョーフランク・&レイノルズらのダンヒル・レコード所属のアーティストたちだった。とりわけ1971年に大ヒットしたハミルトン・ジョーフランク&レイノルズの「恋のかけひき」は70年代を代表する名曲だ。
だが振り返ってみると、1971年ほど僕が海外のポピュラー・ミュージックを聴いた年は他にないだろう。シルビー・バルタンの「あなたのとりこ」に始まり、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「雨を見たかい」、ヘドバとダビデ「ナオミの夢」、ポール・マッカトニー「アナザー・デイ」、カプリコーン「ハロー・リバプール」、ジョージ・ハリソン「美しき人生」、スリー・ドッグナイト「喜びの世界」、デビッド・キャシディー「悲しき青春」、ビージーズ「メロディ・フェア」、ショッキング・ブルー「悲しき恋心」、エルトン・ジョン「イエス・イッツ・ミー」、ミシェル・ポルナレフ「愛の願い」、グラスルーツ「恋は二人のハーモニー」、そして「恋のかけひき」。翌年、郷ひろみが「おいで、遊ぼう」と歌ってくれるまで歌謡曲は殆ど聴かなかったなあ。