ジュリーのドタキャンがえらい話題になっているが、僕には今回の騒動で思い出した事件が二つある。一つはタイガース時代に起きた1967年の「あやめ池事件」だ。あやめ池に集まったファンが多すぎてケガ人が出た事件だが、この事件は長髪GSの番組締め出しに苦慮していたNHKにうまく利用され、マスコミによってタイガースは犯人扱いされた。だが彼らには何の責任もなく、悪いのは警備を手薄にしていた警察やイベンター側にあった。今回のドタキャンも、ジュリーは最初から9000人入らなければやらないと意思表示していたそうだから、謝罪するのは明らかにイベンター側にある。もう一つの事件は1976年の「新幹線暴力事件」。この事件はレコード大賞受賞へ挑戦を続けていたジュリーに大きなダメージを与える事となり、彼はこの年謹慎を余儀なくされてしまう。だが、そもそもジュリーに絡んできた相手の身元が不詳で、ジュリー潰しに動いていた組織の指示によるものであることは明白だ。ところでジュリーは、あやめ池事件の時は翌68年「君だけに愛を」の爆発的ヒットによってアイドルの頂点に立ち、新幹線事件においては翌77年「勝手にしやがれ」でレコード大賞を受賞、国内シンガーの頂点に立った。男・沢田研二はこうして身に降りかかる不条理をバネにし、大発展を遂げてきたのだ。今回ジュリーは、さいたまスーパーアリーナに挑戦することを目標に掲げた。若き日、ジュリーが目標だった僕にとって、彼が新たな目標設定をしてくれた事こそが大きな事件だ。

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