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 1969
年の夏、音楽少年たちの愛読書となる音楽雑誌「guts(ガッツ)」が創刊された。この雑誌のタイトル〝ガッツ〟は「根性」を意味し、「巨人の星」や「柔道一直線」などの〝スポ根〟と呼ばれるテレビ番組が人気を浴びるのにあわせて広く日常的に使われる言葉となった。70年代以降もはや〝ガッツ〟は音楽雑誌のタイトルではなくなり、「お前、ガッツあるか?」と聞かれても、誰もguts最新号を差し出す者などいなくなった。また1974年にはガッツ石松が〝幻の右〟で世界タイトルを奪取。戦前・戦中を思い出させる「根性」という湿った響きの言葉に代わって、「ガッツ」は若々しくポジティブなイメージを持って一般大衆に浸透していった。そんな70年代の〝ガッツ〟をまさに体現したアイドルがヒデキだった。ブラウン管を通して伝わってきた熱唱は勿論、高熱を押してステージ終了後に病院へ搬送されたり、ドラマの最中に骨折したり、その全力投球のパフォーマンスは〝ガッツ〟そのものだった。だから周囲の人たちもそんな彼に協力を惜しまなかったのだろう。代表曲となった「YOUNG MAN」は別として、「薔薇の鎖」「激しい恋」「この愛のときめき」「恋の暴走」「ラスト・シーン」「炎」「ブルースカイブルー」「遥かなる恋人へ」そして「セクシーガール」と、彼に向けた製作者たちの情熱を感じる名曲は挙げればきりがない。ヒデキは「根性」という言葉が大好きだった僕の父と同じ年齢、同じ心臓の病で亡くなった。最後まで僕たちに〝ガッツ〟を見せてくれた西城秀樹さん、本当にありがとう。そして本当にお疲れ様でした。合掌-。