-すぷりんぐはずかむ-確実に春がやって来た。それにしても今年は花粉が凄くて、じっと目を開けていられない。この季節、進学、進級、就職と何かと慌しいが、こういった環境変化は胸躍らせたり塞がせたりするもの。僕にとって胸躍ったのは中学に進学した春だった。小学生の間、低学年の頃はカバー・ポップスがヒットしていて楽しかったが、高学年になると歌謡曲が全盛となり、楽しみが全くなくなってしまった。ポップスに興味のない同級生が幼稚臭く見えるようになり、面白いことが何も起こらない日常に、早く卒業したくてたまらなかった。卒業間近になってようやく「夕陽が泣いている」や「思い出の渚」などがヒットし、何か新しいブームの訪れを感じさせる雰囲気が漂ってきた。そして晴れて中学生になった僕を祝ってくれたのがザ・スパイダースの「太陽の翼」だった。青春歌謡全盛時に御三家の前座を務めていた彼らがメジャー・シーンに躍り出たことと未来に向かう自分とを重ね合わせ、高揚感溢れる楽曲を聴きながら胸を躍らせていた。