僕が生まれた時、一緒に住んでいたのは父、母、そして母方の伯母、母方の祖母で、弟が生まれると6人家族となった。テレビのチャンネル権は他界するまで祖母が握っていたが、その祖母がほぼ毎日観ていたのが「スター千一夜」だった。

「スター千一夜」は昭和34年から56年まで、なんと22年も続いた長寿番組で、「徹子の部屋」のような司会者とゲストのトーク番組だった。放送時間は15分間だけだったが、「スター」と冠しているように、ゲストはその時の旬のスターであったため、番組に出演することが芸能人にとってある種ステータス・シンボルとなっていた。司会も当初はプロの司会者が務めていたが、昭和40年あたりからは石坂浩二のような人気俳優が務め、最後の方はビートたけしなども司会を務めていた。

 この番組のゲストで記憶に残っているのは富士山で演奏したザ・タイガースだけだが、専属スポンサーだった旭化成のCMソングには完全に嵌ってしまった。それは昭和46年の〝若葉のころ〟、丁度今頃から始まったCMだった。動画は当時大人気だった映画「小さな恋のメロディ」のシーンを繋ぎ合わせたもので、BGMは村井邦彦氏が作ったトワ・エ・モアの歌う「愛を育てる」。当時の映像ではBGMを紹介するテロップもなく、この曲がレコードに収められていることを知ったのは20年以上経ってからだった。その後、トワ・エ・モアのCDにボーナス・トラックとして収められていることを知り、早速購入して聴いたのだが、愕然としてしまった。当時のCMとアレンジが全く違うのだ。僕は楽曲をアレンジ中心で聴くので、アレンジが違うと同じメロディでも僕にとってはまるで別の曲になってしまう。当時のCMのアレンジで「愛を育てる」を聴けないものかと思っていたら、YOUTUBEに当時のCMそのものがUPされていた。動画は関口ファミリーで「小さな恋のメロディ」でないのが少し残念。